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フェリー 新造船情報まとめ

更新日: 2024-12-01

最近、その良さが注目されているフェリー。近年は設備も充実して、ホテルに滞在している感覚で乗船を楽しむことができます。フェリーの魅力はマイカーやバイクを航送して、現地で利用できること。普段乗り慣れた車やバイクで到着後、すぐに観光に出かけることができます。愛犬家にうれしいペット対応もあるのも魅力。近年は新たな需要開拓を見越して、フェリーの新造船就航も相次いでいます。ここで2020年、2021年、2022年に就航もしくは就航予定の新造船についてその特徴などをフェリー会社別にまとめてみます。

阪九フェリー

神戸~新門司(北九州)、泉大津(大阪府)~新門司(北九州)の2航路を運航している阪九フェリーは令和2年(2020)に「せっつ」「やまと」という2隻の船を就航させています。コンセプトは「星空と海をのぞむ癒しの旅」。客室最上階である7階には星空と瀬戸内海を眺望できる展望ロビーや露天風呂を設置、船内で一番大きな窓からは星空と瀬戸内海が眺望できて心が躍る船旅を満喫することができます。船内の内装は大正ロマン溢れるノスタルジックな「門司港レトロ」の町並みをイメージしています。環境面にも配慮していて、新型最適船型の採用などにより在来船と比べ約6%の省エネルギーを実現。また、SOx(硫黄酸化物)の排出規制への対応策として排ガス処理装置(スクラバー)を搭載しています。

名門大洋フェリー

大阪南港~新門司港を結ぶ名門大洋フェリー。「フェリーきょうと」が令和3年(2021)12月16日就航、「フェリーふくおか」が令和4年(2022)3月就航予定と2隻の新造船が就航します。内装デザインのコンセプトは日本の情緒を感じさせる「古都のたたずまい」と近代的なウォーターフロントを感じさせる「ベイサイドシティのきらめき」。居住空間のデザインは歴史的建築物の凛とした佇まいや四季折々の風情が息づく京都の街並みと近代的なウォーターフロント開発が進む博多湾の臨海エリアと、海の中道や能古島の自然が共存する福岡の活力をモチーフにしています。プライバシーを重視されるようになった現在の社会情勢、そして多様化する旅のスタイルに対応して洋室(2~3 名部屋)にはトイレ・シャワー設置、更に1名部屋を数多く設置しています。女性客や小さな子供様連れの家族に優しいフェリーを目指してパウダールーム、授乳室、キッズルームを設置、さらに地球環境にやさしい運航を目指してハイブリッド型アジマス推進加勢方式、空気潤滑システムを採用して、ハイブリッド型スクラバーを設置しています。

フェリーふくおか

国道九四フェリー

大分県の佐賀関港と愛媛県の西端部に位置する三崎港を70分で結ぶ国道九四フェリー。平成24(2014)年2月就航の「速なみ(はやなみ)」と平成28年(2016)6月就航の「遊なぎ(ゆうなぎ)」に続いて、令和3年(2021)2月に「涼かぜ(すずかぜ)」が就航、相次いで新造船が投入されています。「涼かぜ」は船体塗装や内装デザインを一新し、船体を大型化させ、客室スペースを拡大するとともに車両積載台数を増やしました。客室スペースを拡大する一方で旅客定員は変更せず、椅子席やカウンター席の増設、3 階客室へのトイレ増設などを行うことで、これまで以上にゆったりと船内で過ごすことができます。また、車両積載台数を増やすことで、混雑時の乗船待ち時間短縮が期待されます。船内設備についてはエレベーターや多目的トイレなどを設置してバリアフリーに対応するとともに、授乳室やキッズスペースを設けるなど、あらゆる年代の乗船客が安心・快適に乗船できるよう配慮されています。

佐賀関フェリーターミナル

東京九州フェリー

令和3年(2021)7月に22年ぶりの長距離フェリーとして横須賀~新門司間に就航した東京九州フェリー。運航開始と同時に新造船「はまゆう」「それいゆ」が投入されました。3層吹き抜けのエントランスとシースルーエレベーターを設け、豪華な船旅気分を演出。レストランやバーベキューコーナーもあり、海を眺めながら食事ができます。最上階には露天風呂があり、太平洋の風を肌で感じながら入浴が可能。プラネタリウムや映画を観賞することができるシアターまで備え付けられています。船室は、専用テラス付き個室、家族が利用しやすい和洋室、ペットが同伴可能なウィズペットルームのほか、ツーリストクラスもプライベート空間が確保された寝台が導入されています。

マリックスライン

鹿児島と奄美群島、沖縄を結ぶフェリーを運航しているマリックスライン。「クイーンコーラル8」に替わって、令和3年(2021)11月に新造船「クイーンコーラルクロス」が就航します。基本コンセプトは「Origin(原点・起点))「Odyssey(知的探求)」「Overture(序曲)」。使い勝手の基本に立ち返った明快な配置&動線計画、機能美を追求したオリジナリティー溢れるインテリアを基本コンセプトとしています。船の中央部には吹き抜けのエントランスホールを備え、現行船と比べてプライベート空間が確保された個室、(階段式)寝台を増やし、また2等和室には個人エリアを確保した仕切り並びにフィッティングスペースの設置等、乗船客のプライバシーを重視しています。高齢者、障害者等に対応できるよう、エレベーター(ストレッチャー収容可能)及びエスカレーターを各2機備えるなどバリアフリーな環境で移動等が円滑に行えるよう配慮されています。女性客や小さな子供がいる家族旅行にやさしいフェリーを目指して、メイクアップルーム・授乳室・キッズルームが設置されています。

マリックスライン

宮崎カーフェリー

神戸~宮崎間でフェリーを運航している宮崎カーフェリーの新造船は1隻目が「フェリーたかちほ」、2隻目が「フェリーろっこう」。1隻目は宮崎らしさ、2隻目は神戸らしさが感じられる名前となっています。「フェリーたかちほ」は令和4年(2022)4月、「フェリーろっこう」は同年11月の就航を予定しています。「フェリーたかちほ」は宮崎の豊かな自然やトロピカルフルーツをイメージした暖かな色彩に、伝統芸能の神楽で使用される「彫り物(えりもの)」の切り絵をモチーフにしたデザインです。基本テーマは「船舶の大型化」「客室の個室化」「省エネの達成」です。

さんふらわあ

大阪~別府間、神戸~大分間、大阪~志布志 (鹿児島)間の3航路を運航しているさんふらわあ。このうち大阪~別府間に「さんふらわあくれない・むらさき」の2隻の新造船が投入されます。就航予定は令和4年(2022)末から令和5年(2023)前半にかけて。世代を超えて家族が集い、船旅を楽しむことで家族のつながり=きずな(KIZUNA)を再認識する場を提供することを目指しています。新造船の特徴は次の5つです。

日本初のLNG燃料フェリー

LNG(液化天然ガス)を燃料とすることで、硫黄酸化物(SOx)をほぼ排出しないことで、窒素酸化物(NOx)と二酸化炭素(CO2)の排出を大幅な削減を可能とします。

一人あたりの面積が拡大

定員一人当たりの面積(1人あたりの内装面積)が6.9 m2から10.9 m2へと拡大することで、ゆったりとした空間を提供します。展望大浴場の面積は現行船の2倍、レストランの席数は1.5倍になります。

静粛性を向上

新造船は瀬戸内海を夜間に航行する船舶では最大の大型船(船長199.9 m)となります。最先端の技術やこだわりの設計により静粛性を向上されることでより一層快適な船旅を過ごすことができます。

長距離フェリー初となるコネクティングルームを設置

和室と洋室をコネクトする長距離フェリー初となる「コネクティングルーム」。3世代で乗船する乗船客が家族水入らずで過ごせる空間を用意しています。

クルーズ船「にっぽん丸」デザイナーを起用

クルーズ船「にっぽん丸」改装時の内装デザインを手がけた渡辺友之氏がカジュアルクルーズの空間を創造します。

さんふらわあ

ジャンボフェリー

小豆島・高松・神戸を結ぶジャンボフェリーは、2022年10月22日神戸発08:30便より⼩⾖島に就航する最⼤のフェリーとなる新造船「あおい」は、広い客室スペースを活かし、島を象徴するオリーブ・醤・⽯・棚⽥の4つをデザインモチーフに取り⼊れ、上質で遊び⼼のあるリゾート空間を実現したフェリーです。また、完全チケットレスを実現する「QRスマート乗船システム」など、7つの新技術・新素材を採⽤することで利便性と快適性の向上も図っている最新式のフェリーになっています。

ジャンボフェリー

まとめ

相次いで投入されているフェリー新造船は近年まずます高まるプライバシー保護の意識を配慮して「プライベートへの配慮」に重点と置いています。また高齢者や身体に障害がある乗船客への配慮からバリアフリーに対応した設備、女性客や小さな子供連れの乗船客に配慮した設備が供えられるなど、現在の社会情勢にニーズにあわせた船内空間になっています。さらに地球環境保護への要請の高まりを受けて環境に配慮した船体設計となっています。夜行列車がほとんど運行されていない現在。フェリーでのんびり船旅を楽しんではいかがでしょうか。

著者紹介

ぶちさん|ベストワンフェリーライター

ぶちさん|ベストワンフェリーライター
(東京都生まれ、武蔵野市育ち)

総合旅行業務取扱管理者取得(2011年) 麦わら帽子と海と犬をこよなく愛する旅行好きサラリーマン。これまで数々のフェリーに乗船し、乗船回数は200回を超える。 最近では、長距離フェリーでのんびり移動することが贅沢だと思い込んでいる。旅先の九州や、北海道まで飛行機で移動した後に帰りはフェリーを利用するなど、フェリーも旅の一部にしているため、ベストワンフェリーの記事ではその楽しみ方も伝えたいフェリーマニア。

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